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理論解析及び模型実験

  性能解析

 

  1. 座標系及び捩じれ剛性Knの定義
    主ビームの中心を原点にとり、後ろビームの中心を通る直線をx軸、主ビームの軸をy軸、それらに直角に交わる直線をz軸とする船体固定座標系o-xyzを定義し、この座標系を用いて船体の運動を記述する。
    船体固定座標系をFig.04に示す。また、前ストラットの回転中心(以後、ピボットと呼ぶ)を原点にとり、opj-xpjypjを船体固定座標系のo-xy平面と一致させ、前ストラット平面をopj-xpjzpjと一致させた座標系をピボット中心座標系O-xpjypjzpjと定義し、この座標系を用いて、ピボット周りの前翼、前ストラット、滑走板の運動を記述する(Fig05)。添字j=1は右船体側、j=2は左船体側を表す。また、左右船体の捩じれを表す係数に次式で表される捩じれ剛性Knを考え、Kn=0の時、左右船体が全く自由に回転し、Kn=∞の時、左右の捩じれが完全に拘束されているとする。(Fig06)
    Mbr−Mbl=Kn*η
    但し、
    Mbr;右船体の主ビーム周りのモーメント
    Mbl;右船体の主ビーム周りのモーメント
    η;船体の捩じれ角
    fig05_Co-ordinate System
    Fig04. Co-ordinate System(クリックすると大きい画像がご覧になれます)

     
    fig05_Co-ordinate System at Pivot
    Fig05. Co-ordinate System at Pivot
     
    fig06_Definition of Twist
    Fig06. Definition of Twist
     
  2. 解析上の仮定
    以下の仮定の下、解析を行った。
    • 水面は平水状態とする。
    • 船体は完全に離水し、水からの流体力は、滑走板、前ストラット、前翼、主ストラット、主翼のみに作用する。
    • ストラット、滑走板は水中翼の一つとして取り扱う。
    • 乗員、船体に作用する空気力は考えない。
    • キャビテーション、ベンチレーションは発生しない。
    • 水中翼及び帆に作用する流体力は準定常的とする。
    • 主ビームを軸とした左右ハルの回転と、ピボットを中心とした前ストラットの回転は互いに独立とする。
    • 定常帆走する時、滑走板は常に水面をなぞる位置にあり、滑走板が水面から離れたまま走行する状態は、不安定な状態とみなす。
    • 真の風を常に真横から受けて走行する(yawの運動は考えない)。
       
  3. 静的釣り合い
    船体は船体固定座標系の原点を中心に6自由度、更に左右のピボット周り(ypj軸周り)の回転、船体の捩じれ、計9自由度の運動を考え、9元連立方程式を立ててそれを解いた。
    Kn=0として、真風速を変化を変化させた時の船速U,捩じれ角η、風上側主翼迎角α51の変化をFig.7に示す。ここから、風が強くなると、左右の船体が捩じれ、強風時には風上側の主翼迎角がマイナスになっていることが分かる。次に、Kn=500(kg・m2/s2)として、風速を変化させた時の船速U,捩じれ角η、風上側滑走板濡れ面積A11の変化Fig.8に示す。
    風速がそれほど上がらないうちにすでにA11がマイナスになり、釣り合いが取れなくなっている。風速を変化させ、各風速に対して釣り合い解が得られる最大の捩じれ剛性Knを計算すると、Fig.9のようになる。風速<7m/sではKnに関わらず釣り合いが取れるが、それ以上風が強くなると、Kn>800で釣り合い解が得られなくなる。
     
    fig07_
    Fig07.
     
    fig08_
    Fig08.
     
    fig09_
    Fig09.
     
  4. 動的安定性
    静的釣り合いで解いた釣り合い点周りの微小運動に付いて、運動方程式を立て動的安定性を調べた。z軸周りの運動に付いては乗員が微妙に舵を取ってバランスを取るとして、ここでは、それを省いて考えた。未知数をu=uceλt,v=vceλtとおいて運動方程式を連立同次代数方程式の形に表し、そこから特性方程式を得、これを直接を解き、すべての根が実部に正の解を持たない時、動的に安定とした。
  5. 計算結果
    Kn=0、500の時の風速変化に対する特性根の変化をFig.10に示す。但し、煩雑化を避けるために、特性根を解いて得られる解のうち根の実部の符号が条件よって変わるもののみを示した。離水直後に不安定根が得られるが、それ以外では、動的に安定な挙動を示すことが分かった。また、ここで不安定になっているところで乗員位置を前方に移動させて主翼負担を和らげれば、不安定域から抜け出すことが出来ることが計算された。
     
    fig10_
    Fig10.
     

  模型実験

 
  1. 平水中曳航試験
    1/5,1/3模型を作り、計算からは推定し難い翼走前の挙動を調べた。水中翼迎角、水中翼位置等を適切な設定にすることで離水時の抵抗を減少させることが出来ることが分かった。水中翼性能試験を行い、その結果とあわせて考えると、以下の設定にした時に、低推力で離水可能であることが分かった。
     
    • 主翼の初期迎角を船体トリムが付いた時に丁度L/Dの最も良いところになるようにする。
    • 前翼の可動上限角は船体トリムが付いた時に最大揚力係数を得る角度になるように設定する。
    • 前翼負担は全重量の20%程度とする。
       
  2. 波浪中曳航試験
    東京大学船型水槽で、微小撹乱を想定した波を起こし、その中を曳航して捩じれ剛性Knの違いによる挙動の変化を調べた。Table.1に示すように、進行方向に対して、真っ直ぐに 波をあてた時、Knに関わらず、安定した走行をしたが、斜め波を当てるとKnが大きい時、左右の船体の捩じれることが出来ないことで、滑走板が水面をなぞれない状況が生まれ、不安定走行することが分かった。
     
  3. 帆走試験
    模型にサーボモータをつけ遠隔操作を行って、実海域で1/3模型の帆走試験を行った。風速2〜3m/sの風で完全に船首が持ちあがり、風速が4m/s近くまで上がると船体はほぼ浮きあがった。実海域でも翼走前、水槽試験をした時と同じ挙動を示し、船がリーウェイ、ヒールすることでの問題は見当たらなかった。また、高速(12m/s)で曳航して高速走行させ、高速でも安定して走ることを確認した。
     

Table.1
Knwave2wave4
0
20
255×
3000××

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